ようやく春らしい陽気になってきたこの季節、ぽかぽかした天気で読書に耽りたいという方もおられるだろう。そこで、一見すると難解に見えるが、その奥には深い作者の意図が隠れている・・・そんな漫画を読んで思索に耽けてみるのはいかがだろうか? ここではいくつかの「深そう」な漫画を筆者の独断と偏見で紹介させていただく。
1.プラネテス(作・幸村誠 連載―1999~2004)
2070年代、人類の宇宙開発がさらに進む中、その開発の弊害であるスペースデブリ(宇宙ごみ)の回収業者である星野八郎太が主人公となる物語。話の本筋は八郎太が現在の自分の仕事(デブリ回収業)と将来の夢への想いの狭間で揺れ動き葛藤している姿が描かれている。全4巻からなる本作だが、それぞれの巻での八郎太の心情とともに揺れ動く表情や作画のタッチがとても印象的で、また作者が愛好していた宮沢賢治の作品からの影響も端々に伺える。夢と現実の中で揺れ動く青年の姿をありのままに写しつつ、作者独自の世界観が全体に広がっている。
2.バガボンド(作・井上雄彦 連載―1998~現在連載中)
かの有名な吉川栄治の小説「宮本武蔵」を題材にした作品。剣豪・宮本武蔵が数々の武芸者を相手にし、成長していく様は原作通りだが、作者独自の解釈で描かれていて、原作とは大きく異なる所が多々ある。巻を重ねるごとに武蔵の内面にフォーカスが当てられることが多くなり、武蔵が「強さ」とは何か自問自答し、殺し合いの螺旋の中に身を入れていく中で、益々精神の奥深くに入り込んでいく様が作者の卓越した画力の下で描かれている。
3.火の鳥 (作・手塚治虫 連載―1954~未完)
日本の漫画の基礎を作ったと言っても過言ではない巨匠・手塚治虫のライフワークとまで言われるほど長くにわたって書かれ続けてきた作品。不老不死の象徴である火の鳥を全編に登場させ、過去未来と時折、歴史上の人物や出来事を交えつつ、人間の愛や愚かさを壮大なスケールで描いている。作者の思想が作品全体に深く根付いており、不老不死というテーマから逆説的に、死なない体を求めつつそれを手に入れることのできない人々を描くことで、「生命の尊厳」を描いているようにも思える。
・・・といったふうに、作者の精神世界を覗くことのできる刺激的な作品をいくつか紹介してみた。読者の方々も今まで読んだ作品をまた違った角度で見てみてはいかがだろうか?
(文=百野拓也)
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tsuchiya
1 年 前
バガボンドも長いよな・・・・: あなたは作者の意図を読み取れるか?! 深遠な精神世界への誘い。 http://bit.ly/c1H2ug