津田大介氏インタビュー 第1回:「インターネット黎明期の挫折、そしてTwitterへ」(全4回)

2010年5月23日 記事の公開日時 12:34 am

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津田大介氏インタビュー  第1回:「インターネット黎明期の挫折、そしてTwitterへ」(全4回)
 
 

(この記事はMAG! 2010春号に掲載されています。詳しくはこちらをご覧下さい。なお、ウェブ上では特別にロングバージョンを公開しています。)

MAG! 2010春号 津田大介氏インタビュー

MAG! 2010春号 津田大介氏インタビュー


ウェブ系ジャーナリストとしてインターネットの初期から活躍し、MIAUでの違法ダウンロード禁止法案の反対活動や、Twitter論壇などで活躍しておられる津田大介氏にお話を伺った。

  • 第1回:「インターネット黎明期の挫折、そしてTwitterへ」
  • 第2回:「Twitterが変えたものとは、そしてその未来」
  • 第3回:「Twitterでできること、できないこと、素直になれないこと」
  • 最終回:「大学生に贈る、Twitter時代の人脈の作り方」
  • ウェブの目覚め

    僕は早稲田に93年入学で、94年くらいにネットの波が来ていたんですよね。サークルは「多重録音芸術研究会」という音楽サークルに所属していたんですが、そこがパソコンをいじったりするのが好きな人が集まっていたサークルだったんですね。先輩に理工学部の研究室に連れていってもらったり。

    それで初めて「Mosaic」っていう一番最初のブラウザの原型みたいなものを見て、それでインターネットに興味を持ち始めました。

    それから早稲田の本キャン(早稲田キャンパス)の北門を下ったところにコンピューターセンターができて、そこで24時間ネットが使える環境だったんです。本当にちょうど僕の大学に入った時くらいから早稲田のネット環境は相当良かった。

    ダイアルアップ用のアクセスポイントも早稲田はしっかり用意してて、プロバイダと契約しなくても早稲田のIDでインターネットを繋ぐ事ができた。それでずーっとインターネット三昧の生活をしてたんです。
    当時、ネット環境は早稲田よりもSFCばかり注目されていたんですが、実は早稲田も負けてなかった。

    当時インターネットに触れて「とにかく「インターネットすげーな!」」って感激したことが今の僕の活動に繋がっています。

    実際、僕らの世代(‘1973)って1学年上に元ライブドアの堀江さんがいるし、サイバーエージェントの藤田社長も同学年。ジョブウェブの佐藤社長も早稲田で同期同学部、語学のクラスも同じでした。売るほど時間があった大学時代にインターネットに触れてその可能性に触れた人が、ネットベンチャーの第一世代になっているんです。

    その可能性は世界に変革をもたらすか

    インターネットに触れて、「ネットは世の中を変える、色んなものをフラットに繋げる力がある」と思った。例えば音楽のクリエイターなら、楽曲を直接レコード会社を通さずにできたりとか…。個人がメディアになっていけば、雑誌も出版社もあり方を変える。その可能性に衝撃を受けたんですね。

    僕はその頃から物書き志望だったので、ネット業界への興味もあったんだけど、やっぱり物書きになりたいという気持ちの方が強かった。でも、物書きになるといっても、いきなりフリーでできるような専門分野や蓄積が自分にはなかった。

    でも、大学時代からパソコンとかインターネットばっかりやってたんで、その中から「自分で出来る事はないかな」って考えていたら、パソコン系のライターの仕事を得ることができた。だから、僕は実用系の、パソコン系ライターからキャリアをスタートしたんですよ。

    期はまだ熟せず… 「世界を変えなかった」インターネットの挫折

    大学時代から僕はずーっとインターネットを使ってきたんですけど、ネットって95、96年に出てきたときの理想を実現はしなかったんです。当時はITリテラシーが高い人は少なかったし、本当に一部の先進的な人しか使ってなかった。そもそもiPhoneみたいなデバイスもなかったですし。

    そんな中ブロードバンド接続が2000年くらいから出てきて、ネットを巡る環境が激変した。あとは、情報発信するにもHTMLの記法一式覚えないといけなかったのが、ブログやSNSみたいなものが出てきて、個人の情報発信の敷居も低くなった。

    そうしてちょっとずつ環境は良くなってきたんですけど、ウェブの論壇もこれで変わるかなぁって思ったら そうはいかなかった。僕はネットってずーっと「挫折の歴史」みたいなものがあったと思うんです。何かって言うと、ネットが最初に提示した「こんな事もできる」「こんな人と繋がれる」「社会を変えてくれる」っていう事をなかなか実現してくれなかった。挫折の歴史。

    今までのマスメディアにいた人以外がブログで情報発信することで「言論環境が変わるかな」って期待してた部分は大きかったですね。実際、一部のではそういう変化も起きたけど、社会が変わるって程のインパクトはなかった。

    その中で2004年にSNSが出来てきて、ブログも炎上問題も起きるようになってきちゃった。このあたりは匿名で好き勝手できちゃうネット文化の悪い面に引きずられた格好ですね。インターネットがなんとなく殺伐としてきちゃったので、友達と知ってる人としか繋がらないクローズドな、グーグルの検索に引っかからない世界でネットワークを作ってもっと純度の高いコミュニケーションができるんじゃないかってのが、SNSの最初の出発点ですよね。

    僕自身もSNSはハマッたんですけど、ツイッター使って「やっぱりネットは閉じてるんじゃなくて、オープンであるべきだ」と思うようになった。mixiは実名推奨でスタートしたのに、色んな事件とかあって、個人情報とかさらされたりとか、匿名の愉快犯たちの遊び場になっちゃった。

    それを受けてmixi自体が「実名は危ないのでやめましょう」って方向に転換しちゃった。僕はあれは、「SNSの敗北」だと思っているんですよね。そんなこんなでずっとネットに対する閉塞感があった。

    そんなときにTwitterがでてきたんですよ。

    (文=竹馬光太郎)

    →次回:第二回「Twitterが変えたものとは、そしてその未来」

    津田大介 プロフィール

    1973年11月15日、東京都北区出身。早稲田大学社会科学部卒業。IT・音楽ジャーナリストとして、ネット、音楽、ハード、マルチメディア系の記事を執筆。2009年に執筆した『Twitter社会論~新たなリアルタイムウェブの潮流~』(洋泉社)が話題を呼び、日本におけるTwitterジャーナリストの第一人者としても認知されている。2010年度からは、執筆業の傍ら早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコースの非常勤講師担当も務める。


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