対談「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ × 「SHOCKERS」代表 石黒真人 第1回(全2回)

2010年10月27日 記事の公開日時 8:29 pm

5

このエントリをはてなブックマークに追加

Pocket
対談「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ × 「SHOCKERS」代表 石黒真人 第1回(全2回)
 
 
この記事はMAG! 2010秋号に掲載されています。
詳しくはこちらをご覧下さい。

MAG! 2010秋号 朝井リョウ×石黒真人


昨年、第22回小説すばる新人賞を受賞して作家デビューを果たした、現役早大生・朝井リョウ。早くも第二作目が発売されることになった。その名も「チア男子!!」。タイトルの通り、チアリーディングに青春を懸ける男子たちの物語である。そこで、今回は作者である朝井リョウさんと、実際に男子チアリーディングチームSHOCKERSで活躍する石黒真人さんにお話を伺った。

  • 対談「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ × 「SHOCKERS」代表 石黒真人 第1回(全2回)
  • 対談「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ × 「SHOCKERS」代表 石黒真人 第2回(全2回)
  • 男子チアを小説に

    朝井リョウ(以下『朝井』):を頂いてから、まだ授賞式がある前に2冊目のテーマはどうするか、みたいな打ち合わせがあって。その時に、スポーツものが好きで、自分でもやってみたいっていうことを言ってたんだよね。自分は『一瞬の風になれ』が好きなんだけど、あれは本当に3年くらい取材をして書いてる話だから、まだ2冊目でやるには絶対早いと思ってて、本当にできるとは思ってなかったんだ。
    ただ、そういうことを話していたら、『でも、そんなにやりたいんなら、2冊目でやりましょうよ』と担当さんが話を進めて下さって。どのスポーツにするかって話していたら、担当さんが『そういえば、早稲田にSHOCKERSっていうチームあるよね』って。そこでSHOCKERSに取材してチアのことを本にして書けるのは、もしかして集団で踊るということを高校時代から続けている自分だけなんじゃないかと思って、挑戦させてもらった。」

    石黒真人(以下『石黒』):「自分は最初その話を聞いたとき『チアって書くの難しいだろうな』って思った。人数もいっぱいいるし。でも、男のチアってマイナースポーツだから知名度を上げるいいチャンスかなというのが第一印象だったかな。」

    朝井:「ありがとう。でも最初は怪しかったでしょ(笑)。まだ本も出てなかったし。1作目が2月ぐらいに出たんだけど、取材を始めたのが12月ぐらいで、こいつは誰?ってなってた。」

    石黒:「ちょうど来た時期が寒くて、唇青くしてめっちゃ震えてたよね(笑)。」

    朝井:「もう、ほんとに大変だった。チアって、生で見る分には『すげー!』ってなるんだけど、何がすごくてどの技が難しいとかいうのが分からなくて。難しい技も簡単そうにやるから、『あっこの技って難しいんだ!』って本読んで初めて分かったりした。一番初めに見に行った大会で、チアリーディングの印象が変わった。いやあ、あれはすごかった。今までは甲子園とかで見る感じのをイメージしてたんだけど、チアリーダーってよりはアスリートだったね。」

    石黒:「あれでチアの印象変わるよね。」

    朝井:「早稲田祭でやるようなやつもあるし、ああいう大会の競技っていうのもあるし、見ててすごい楽しかった。見てると『おおーっ!』って声が出る。」

    男子チアの魅力

    朝井:「初めは男子がチアをやっているという特異性が目についたんだけど、チアをやってる人はみんな『チア人』でチアに魅了されている。男子がチアをやってるのがおもしろいね、って言って始めたけど、途中からはあんまり男女関係なく見えてきたね。」

    石黒:「やっぱり男がチアって色物っぽく見られるんだよね。やっぱり格好よく聞こえないじゃない?でも、『そういう恥ずかしいようなことでも一生懸命やったら格好良く見えるんだよ!』って伝えたいというのが根本にあって。」

    朝井:「応援するのがスポーツになるってのがすごいなと。他のスポーツでは絶対にないことだと思った。応援するっていうと、他の部活だったらベンチだったりとか、補欠だったりとか、そういう人が応援するんだと思うんだけど。チアの場合は『応援するってことが主体になる』っていうのがすごいスポーツだなって。」

    入念な下調べと執筆の苦労

    石黒:「書いてて何が大変だった?」

    朝井:「まず人数が多かった。」

    石黒:「最終的に何人だっけ?」

    朝井:「主人公のいるチームだけで16人。ショッカーズは取材当時22人って聞いたけど、22人は無理かなと思って。
    例えばリレーだったらバトンを繋いで視点が変えたりできるし、駅伝もタスキ渡しで1区2区3区4区って視点を変えていけるんだけど、チアの演技は皆同時に動いてるので、視点を変えられなかった。けど、小説にするにはやっぱり、演技中に視点をどうにかして回さなきゃいけないと思って、それをものすごく工夫して最終章を書いたんだよね。」

    石黒:「大会の構成も自分で作らなきゃいけないんだもんね。」

    朝井:「そう! あれホント大変だった。色々なチームの動画を見たりして作ったよ。音楽のない、掛け声だけの時間がなきゃいけないってのも知らなかったから。それも含めて考えなきゃいけなくて。」

    石黒:「あれ演技1つ1つ作るのってめっちゃ大変だもん。」

    朝井:「あれはきつかったー。」

    (文=土屋順紀)

    対談「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ × 「SHOCKERS」代表 石黒真人 第2回(全2回)

    【告知】 朝井リョウ、待望の新作 「チア男子!!」発売!

    処女作『桐島、部活やめるってよ』の発売から8カ月…。10月5日発売の『チア男子!!』は、「1冊目とは全くまた違う書き方をすることになった」と朝井さん。バレーボールや音楽、岐阜弁など、朝井さんのアイデンティティを出して書いた前作とは異なり、「完全に物語を作るという意識を持って作った」という。
    この記事を読んで興味をもったそこのあなた。『チア男子!!』を読んで、生のチアを見に足を運んでみてはいかが?

    桐島、部活やめるってよ



    著:朝井 リョウ
    参考価格:¥1,260
    価格:¥1,260
    チア男子!!



    著:朝井 リョウ
    参考価格:¥1,575
    価格:¥1,575

    朝井リョウ プロフィール

    1989年5月30日、岐阜県不破郡出身。早稲田大学文化構想学部在学中。
    2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。

    関連記事


     
    ▲一番上に戻る