対談「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ × 「SHOCKERS」代表 石黒真人 第2回(全2回)

2010年10月29日 記事の公開日時 7:11 pm

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対談「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ × 「SHOCKERS」代表 石黒真人 第2回(全2回)
 
 
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MAG! 2010秋号 朝井リョウ×石黒真人


  • 対談「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ × 「SHOCKERS」代表 石黒真人 第1回(全2回)
  • 対談「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ × 「SHOCKERS」代表 石黒真人 第2回(全2回)
  • リアルさを追い求めて

    朝井リョウ(以下『朝井』):「あと、僕はずっと高校バレーをやっていたから、団体競技があんなに綺麗なものじゃないっていうのは良く分かってるんだよね。やっぱり団体競技ならではのどろどろをめちゃめちゃ書きたかったんだけど、それを書くと多分上中下3巻とかになっちゃうし。だから枚数との戦いもすごくきつかった。削って削って、やっとあの長さになった。初めはすごく暗い話だったんだよね。ホント、1回800枚くらい書いて、そこから4〜500枚書き直して。」

    石黒真人(以下『石黒』):「でも、ほんとに全部リアルだよね。本の8割くらいが失敗のシーンだもんね。失敗と喧嘩のシーン。」

    朝井:「練習シーンもすごく大変だった……。練習シーンが圧倒的に足りないとも思ったんだけど、練習をしているだけのシーンを書くワケにはいかないじゃない? 練習をしてる中で何か起きないと小説の場面として成り立たない。それがほんとに大変だった。本当に本にするんだったら、あの3倍くらい練習シーンを書かなきゃいけないなーとは思ったんだけど、練習だけのシーンが続くと観察日記のようになってしまってつまらない。その狭間の戦いが大変だった。」

    石黒:「チアは統一性を競う競技なんだけど、そういうのに男って向いてないじゃん。人に合わせるとか、団体行動とか。SHOCKERも皆やっぱり『自分が自分が』みたいになって、『どこどこがちょっとズレてるよ』って言っても、『いや俺じゃないだろ』みたいな(笑)。そうやってトラブルになることばかりだよね。」

    苦労の先に見えるもの

    石黒:「横にひねる技があるんだけど、上にのってる人がひねる時に、下にいるスポットって言うポジションと視線が合うのがいいっていうのがあって、それが書いてあったので『あ!ちゃんと、色々勉強したんだなっ』って(笑)。」

    朝井:「(笑)。はじめて練習を見に行ったときはホントに何もわからなかったからね。『どうなって技ができてんの?どうやって練習するの、これ?』って。本を読んだりして競技の勉強をしないと始まらなかった。あの技、ほんとに視線が合ってるんだね。」

    石黒:「合ってる、合ってる。」

    朝井:「すげー。あれはすごいなーと思った。姿勢の安定は視線の安定っていう言葉が本にあって。チアってダイナミックに見えるけど、やってることはすごく細かいんだね。」

    石黒:「すごく細かい。実際、必死だよ、演技してる側は。笑顔とか言われるけど、飛ばして技出してる人いるじゃん。その人の顔に注目してると結構…(ゆがんだ顔をしてみせる)こんな顔してる(笑)。練習も地味で地味で仕方ないしね。」

    朝井:「それもビックリしたね。本も読んで、初めにちっちゃい技から、これができるようになって、あれができるようになって、って。いきなり肩とかに乗せるわけじゃないんだな、と。」

    石黒:「全部が通せるようになるまでの地味な練習が、すごく雰囲気作りとかも大変で。」

    朝井:「雰囲気ね~。」

    石黒:「だから、練習はすごい地味。」

    朝井:「ほんとは雰囲気ももっと悪い風に書きたかたんだよね(笑)。」

    石黒:「うちはもう雰囲気重視だから、厳しい事はあんまり言わないようにしてる。」

    朝井:「そうなんだ、練習中?」

    石黒:「うん。」

    朝井:「けど大会の時、あんな細かい練習をしてたとは思えないくらい、爆発感がすごかったね。」

    石黒:「あれがあるから、地味な練習も頑張れるみたいなところもあるよ。」

    朝井:「そうだよねー。自分も書いてる時、自分の力の無さを思い知る日々でほんと辛かった。チアといっしょで、その苦労が何らかの形で返ってきたらうれしいね。」

    (文=土屋順紀)

    対談「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ × 「SHOCKERS」代表 石黒真人 第1回(全2回)

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    処女作『桐島、部活やめるってよ』の発売から8カ月…。10月5日発売の『チア男子!!』は、「1冊目とは全くまた違う書き方をすることになった」と朝井さん。バレーボールや音楽、岐阜弁など、朝井さんのアイデンティティを出して書いた前作とは異なり、「完全に物語を作るという意識を持って作った」という。
    この記事を読んで興味をもったそこのあなた。『チア男子!!』を読んで、生のチアを見に足を運んでみてはいかが?

    桐島、部活やめるってよ



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    朝井リョウ プロフィール

    1989年5月30日、岐阜県不破郡出身。早稲田大学文化構想学部在学中。
    2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。

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