【2011秋号】新たな価値観の創出!?知られざる前衛芸術の魅力に迫る!!

2011年10月31日 記事の公開日時 5:00 pm

3

このエントリをはてなブックマークに追加

Pocket
【2011秋号】新たな価値観の創出!?知られざる前衛芸術の魅力に迫る!!
 
 
この記事はMAG! 2011秋号に掲載されています。
詳しくはこちらをご覧下さい。

芸術って何なのさ…?

展覧会に並ぶ絵、絵、絵。あるいは荘厳な、あるいは繊細な芸術作品が立ち並ぶ。しかし、誰しも一度や二度思ったことがあるのではないだろうか。「この絵、 理解できない…」と。
そう、いわゆる前衛芸術と呼ばれる作品だ。これらの作品は極めて難解で理解しにくい上に、一般人にはただの落書きと区別がつかないことも多い。
そこで前衛芸術のスゴさとは何なのか、マグ捜査員(美術の成績2)が元武蔵野美術大学教授の岡部あおみ先生にお話を伺ってきた!

 

・そもそも前衛芸術とは、どのような作品を指すのだろうか。

「日本で芸術といえばまず絵画か彫刻ですよね。でも戦前から特に1960年代になって、従来の絵や彫刻以外の何か新しいもの、あるいはジャンルを超えた何かを求めたことで前衛芸術が生まれ、広がっていきました。今では前衛芸術というよりはモダンアートという言葉で代表されていて、たんに現代アートとも言われています」(岡部先生)
たとえば、インスタレーションといってひとつの空間にいろいろなオブジェを置いて空間全体を作品としたものや、2,3分の映像と一緒にオブジェを置いて作品としたもの、さらに絵画でも絵の中に文章を組み込んだものなど何でもありの世界なのである。

 

・では、一般人には理解し難い前衛芸術はどのような点で評価されているのだろう?

「それぞれの時代の同時代を生きている人々の作品で、たとえば私にとっては刺激があったり何か新しいことを考えさせてくれたり、新しい感覚を与えてくれる、 そうした今までにない作品を見たときに、面白いと思いますね。ただ美しいだけでなく、コンセプトにも惹かれる。つまり『芸術とは何か』を考えさせてくれるものです」(同)

 

・この概念芸術の始まりに位置するのが、マルセル・デュシャンだ。
彼は新品の男性用小便器を逆さにしたものに『泉』という作品名をつけ、彼自身が展示委員をしていた展覧会に出品している。

「これは強烈な作品で、レディ・メイドとは『既製品でもこれをアートだと言えばアートだ』ということ。大事なのは、『あなたは一体何を芸術だと思うのか』。当時、前衛的な立場で活動する作家たちはなかなか理解されにくかったけど、時代を経て美術史の主流となり、認められるようになりました。つまりアヴァンギャルドたちは『芸術とは何か』 を思考し、自らその歴史を創ってきたということですね」(同)

 

・前衛芸術は既存の芸術ジャンルから新たな芸術を開拓し続けている。
たとえ今、落書きと評されるような作品でも時代が変われば世紀の名作として評価されるかもしれないのだ。人の価値観なんて簡単に変わるし、変えることもできる。だからこそ、芸術は面白い。

(文=樋口瞬)

岡部あおみ(AOMI OKABE) プロフィール

美術評論家。2011年4月まで12年間武蔵野美術大学教授。日仏の美術館で展覧会に携わる。著書多数、カルチャーパワーwebサイト創設。

関連記事


 
▲一番上に戻る