現実はそんなに甘くない!? “名監督”、“ジャイキリ”の実際に迫る!

2011年2月12日 記事の公開日時 5:22 pm

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現実はそんなに甘くない!? “名監督”、“ジャイキリ”の実際に迫る!
 
 
この記事はMAG! 2011冬号に掲載されています。
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君は大物を食えるか…!?


MAG!2011冬号 - 現実はそんなに甘くない!?“名監督”、“ジャイキリ”の実際に迫る!


「サッカーを、試合を面白くするのは監督だ!」
こんなフレーズで話題になっている、ある漫画をご存知だろうか。弱小チームの監督が主人公で、強豪チームを次々となぎ倒していく様「ジャイアント・キリング」(大物食い)を描いた、講談社発行の『GIANT KILLING』。痛快かつリアリティあるストーリー展開が人気を呼び、我らがマグ部室にも当たり前のように全巻揃っているとかいないとか。
しかし、所詮漫画は漫画。監督の見事な采配で大物食い、なんてこと実際に起こるのだろうか? 急に現実に引き戻ったマグ捜査員(サッカー未経験)は、真偽を確かめるべく筑波大学の淺井教授にお話を伺ってきた。

「指導者の力でジャイアント・キリングが出来るのはあまりなくて、選手が良いところは大抵有利に試合を展開する。だから強いチームは相変わらず勝つし、番狂わせって少ないんだよね」(浅井先生)

やはり漫画のようには…。となると、大金星を挙げるためにはどのような監督の手腕が必要になるのだろうか。

「監督というより、いろんな要素がうまく噛みあって、選手がいいパフォーマンスをすることだよね。強いチームの油断もあるし、極論すればゴール前で適当に蹴ったボールが味方の手に当たるか、相手の手に当たるかでその後の展開は天と地ほど違ってくる。だからジャイアント・キリングが起きても、一概に決まったパターンに当てはめられない。そんな中で監督の影響って多めに見積もって2、3割じゃないかな」(同)

ジャイアント・キリングが起きる要素は複数ある。その中のほんの一部にマスコミがスポットライトを当てた結果、監督が凄い成果を挙げたように見えてしまう、と教授は言う。あくまで要因の大半は試合に実際に出る選手たち。では、その残りの2、3割のために監督に求められているものとは?

「そんなの分かんないよ(笑)。選手選手に合った指導者がいるし、ある人がやったコーチングを他の人が真似しても、うまくいくかどうかは分からない。能力の伸びっていうのも一つの評価の尺度でしかない。勝てたからといっても、スポーツ嫌いになったらそれがいい指導かどうかは難しいしね。答えはないけど、その選手にとって包括的な、広い意味での利益を求める。そういうコーチングが正解の方向性かもしれないね」(同)

淺井先生いわく、どの監督も山ほど失敗し、簡単にはいかないことを知った上で創意工夫していく。漫画のようなサクセスストーリーはめったに起こらないとのこと。考えてみれば、相手が人間である以上、絶対的な答えがないということはある意味当然なのかもしれない。
ただ、淺井先生は言う。

「我々はロスタイムのゴール、マジで狙っていますよ」(同)

観客に出来ることは、深く考えることではなく、ネバーギブアップの精神を忘れずプレーしている選手に声援を送ること。とりあえずサッカー場へ行って応援、かな。

(文=高田恭平)

淺井 武 プロフィール

筑波大学大学院人間総合科学研究科教授。
蹴球部総監督も務める。
サッカーを中心としたスポーツコーチング、スポーツバイオメカニクスを研究する。

画像出典
Tokyo soccer by shibuya246
http://www.flickr.com/photos/shibuya246/3745381782/

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