【2012冬号】今ヨーロッパで何が起こっているのか?欧州経済危機とは!?

2012年3月8日 記事の公開日時 5:00 pm

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【2012冬号】今ヨーロッパで何が起こっているのか?欧州経済危機とは!?
 
 
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日本が危機を回避するためには?

 昨今ギリシャやイタリアから始まった欧州諸国の経済危機が深刻化している。欧州の金融不安によるユーロ安から円高が広がり、日本の輸出産業にも大きな影響を及ぼした。そこで、欧州の金融危機はどれほど深刻さを国際金融論を研究されている明治大学の勝悦子教授にお話を伺ってきた。

 

「ヨーロッパではギリシャやイタリアなどの国債を、EU諸国の銀行が保有し合っています。レバレッジ(注1)も高いので、国家破綻ということになれば深刻な信用収縮が起こりその影響は計り知れません。リスクプレミアム(注2)の急増から危機国の国債の長期金利は急上昇しており、国債の満期返還資金を市場で借り換えできない状況にあります。一方日本は、国内の金融機関が全体の8割を保有し、非常に安定した消化がなされ、長期金利も低位にあります」 (勝教授 )

 イギリスやイタリアなどのヨーロッパ諸国は、ユーロを共通通貨として使用しており、それが非居住者保有を増大させた。EU諸国の政府債務残高(GDP比)は日本より低いが、市場で借り換えできない分、デフォルト(注3)リスクは高いということだそう。

 

 では、日本は安全だと考えてもいいのだろうか。

「日本も安心ということはありません。たとえば2005年に日本では市場ショックがあってマーケットリスクが波及した例がある。また、2008年のアメリカのリーマン・ショック(注4)で、先進国の中で最悪の影響を受けたのは日本でした。貿易など実物ルートからの影響により、当時欧米の需要が激しく落ち込んだため、情報機器、自動車など高付加価値の製品輸出に特化した日本の輸出産業は大きな打撃を受けたのです。さらに、将来高齢化が進み資金取り崩しで貯蓄が減少すれば国債の国内での安定消化もままなりません」(同)

 日本の銀行は欧州のソブリン債券(注5)をそれほど多く保有していないため、欧州での国家破綻の影響を受けることは少ない。しかし、欧米の需要の減退により輸出産業は深刻なダメージを受け、そのルートで日本経済にも深刻な打撃を与える可能性がある。

 また、近年日本のマーケット市場は縮小してきたと言われている。国内での成長を望めない中、日本はどうすればいいのか。

「新興国の元気を取り込む形、たとえばインフラ投資の促進、自由貿易を一層進めること、グローバルな人材をさらに育成し海外市場でシェアを増やすことなどが大事になると思います」 (同)

 

 今や世界の中心はG7からG20へと移りつつある。変化する国際社会の中で日本に必要なのは、組織や人材のフレキシブル化、グローバル化なのかもしれない。

注1:てこ率。借入金など他人資本をてこにして自己資本利益率を高めること
注2:金融商品において、リスクに対して支払われる対価
注3:債務不履行
注4:2008年にアメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻した出来事を、これが世界的金融危機(世界同時不況)の引き金となったことに照らして呼ぶ表現
注5:各国の政府又は政府関係機関が発行し又は保証している債券(国債など)のこと

文=土性香那実

勝 悦子 (KATSU ETUKO) プロフィール

明治大学政治経済学部経済学科教授。国際金融、国際経済、経済政策等を専門とした研究を行なっている。

画像出典
International Money Pile in Cash and Coins/ epSos.de

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