【2013秋号】死ぬこと、そして生きることって?死生学の観点で見つめ直してみよう!

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2013年12月20日 記事の公開日時 6:00 pm

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【2013秋号】死ぬこと、そして生きることって?死生学の観点で見つめ直してみよう!
 
 

この記事はMAG!2013秋号に掲載されています。
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よりよく生きることって?

 最近実家のペットが息を引き取り、死とは何なのか改めて疑問に思ったマグ調査員(お婆ちゃんっ子)は、死生学を研究している島薗進教授にお話しを伺った。

 

「死について考えることを拒否する人は多いですね。でも、避けられないものだからきちんと考えようっていうのが死生学です。人は死に直面したとき、多くの事を考えます。死とは、人間とは、生きる意味とは、と。死に直面することで、今まで見えなかったものが見えてきて、より豊かに生きていくことができるんですね」(島薗進教授)

 

 ただ、そんなに多くの人が死に直面するわけではないだろう。

 

「死生学は死に直面したことのない人にも、考えておくことが大切じゃないかと疑問を投げかけます。ただ、『死を受け入れる』というのをあんまり早くして欲しくはないですね。命を歓迎することが生きていく上で大切だし、命を大切にすることでしか『死』は考えられないわけですから」(同)

 

 しかし、技術が進歩した現代では遺伝子検査で子供の状態が分かり、産むか産まないか決めることができるようになった。また人工授精で命を作ることも可能になった。進み過ぎた技術に島薗先生は疑問を感じている。

 

「命は天から授かるものだからこそ尊いのに、今は命を作れるもののように感じて結果的に軽んじる傾向が強い。生命の価値を見失わさせる科学技術に対し、人類全体がきちんとした判断を下せるかが大きな問題ではないでしょうか」(同)

 

 日本の生命倫理に関わる議論が遅れていると島薗先生は指摘し、話を終えた。隔離された病室で体中に管をつけて死を迎える時代。しかし、それは人間らしい死に方だろうか。生まれてくる命の価値も、消えていく命の扱い方も変化する今、命というものについて再考すべき時がきたのではないだろうか。

(文=森川綾美)

 

 

島薗 進 しまぞの すすむ  (SUSUMU SIMAZONO)
東京大学大学院人文社会系研究科名誉教授。上智大学神学部特任教授・グリーフケア研究所所長。
研究分野は主に宗教学。他にも近代日本宗教史、死生学なども。
宗教を基盤にした視点で多数の著書を出版している。

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