【2013秋号】口をあーんして綿棒をゴシゴシ!! 遺伝子検査ビジネスの実態と問題

2013年12月22日 記事の公開日時 8:36 pm

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【2013秋号】口をあーんして綿棒をゴシゴシ!! 遺伝子検査ビジネスの実態と問題
 
 

この記事はMAG!2013秋号に掲載されています。
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「手軽」に採取できる裏で潜む問題点とは?

現在、僕たちは簡単に遺伝情報を手に入れられ、その情報を基に、自分の体質と疾患のリスクが分かるようになった。だが、遺伝子検査はどこまで信用していいのだろうか。医療機関だけでなく一般企業でも取り扱っているけどホントに大丈夫? こんな疑問が頭をよぎったマグ調査員(ハゲは遺伝性が強いことに悲嘆)は、株式会社三菱化学テクノリサーチの宗林孝明さんにお話を伺った。

「まず、遺伝子検査には三種類あるんですね。単一遺伝子疾患やガンの悪性度、薬剤の効果や副作用を調べる診断治療及び投薬の検査、アルコール代謝能力や心筋梗塞等のリスクを調べる日常生活を管理するための検査、そして才能や運動能力、先祖さがし等の娯楽の為の検査があります」(宗林)

現在、それぞれの遺伝子検査には問題点が多岐に渡るという。例えば、出生前診断では、検査前後のカウンセリング等のフォロー体制が国内であまり整っていない。

「出生前診断で、『陽性でしたよ。』となると、簡単には決められないとても難しい対応を求められますよね。他にも、自分のために受けた単一遺伝子疾患の検査で『ある疾患の遺伝子があります』と判明したとすると、自分の子供の結婚や就職に影響を与える可能性が出てくる。遺伝子検査が簡単にできるからといって、簡単に受けるのは少し考えなくてはいけません」(同)

では、一般企業が行っている、日常生活を管理するための検査にはどのような問題があるのだろう。

「それぞれの施設は、独自の研究データや研究論文に基づいて、何らかのアルゴリズムで検査結果を出しています。しかし3万もある遺伝子全部の様子を見ることはまだできないので、結果の解釈は今後発表される研究でどんどん変化する可能性のある不安定なものなんです。受けたいと考えている検査に科学的に有意な根拠はどれくらいあるのかを捉えた上で、我々は検査を受けるべきですね」(同)

また、検査をした上で導き出された「リスク(可能性)」の結果について、よく検討してほしいと宗林さんは話す。「発症リスクが1.5倍」や「発症確率60%」等と聞いて我々はどうするか、高いと感じるかどうか。単一遺伝子疾患を除けば、遺伝子検査は残念ながら、0%か100%では結果が出てこないのだ。

「米国のNIH所長であるコリンズ博士が著書で書いていますが、自分にとって一番信頼出来る情報は既に皆さん持っています。それは家族なんですね。やはり遺伝的な要素もあるけれど、環境的な要素も疾患には含まれるからです。ガンなどの病気は環境の要素も絡むことが多い。だから生活を共にする家族の病歴を振り返れば、自分の健康に繋がり、さらには家族自体の健康にも繋がる。一時間もあれば、大体自分の罹りやすい疾患がわかると思います」(同)

なるほど、じゃあ自分も家族について振り返ってみよう。あ…父方母方どちらともハゲてる…。
(文=圓谷英明)

宗林 孝明 SORIN TAKAAKI
株式会社三菱化学テクノリサーチ 調査コンサルティング部門 2部部長主幹研究員。バイオテクノロジー分野からの技術動向を探る。

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