【2013秋号】 問題の根底は隠蔽!?選手!? 統一球問題の真相に迫る!

2014年1月19日 記事の公開日時 6:30 pm

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【2013秋号】 問題の根底は隠蔽!?選手!? 統一球問題の真相に迫る!
 
 

昨年も日本を大いに沸かせたプロ野球。しかし、シーズン途中では統一球問題が世間を震撼させた。プロ野球界が直面した逆境…? いや、むしろこれを機に、プロ野球にもっと興味を持ってもらいたい! と妙な使命感に駆り立てられたマグ捜査員(オレンジ色の球団ファン)は、帝京大学の大坪正則先生にお話を伺った。

 

「そもそも統一球は国際試合に対応するために導入されました。導入の話自体はWBC第1回大会の前後から持ち上がっていて、そのWBCでは米独自の公式球を使用していたのですが、日本人には重くて飛びませんでした。そこで、WBCに近い球を使おうと話が進んだのです。球団間で異なる球を使用していたことへの批判もあり、2011年に統一球が使用されるようになりました」(大坪正則先生)

 

プロ野球では、ボールの反発係数が決められている。日本では、時速270キロ時における反発係数が0.41~0.44の基準を満たすボールが合格となる。統一球の反発係数は0.4134であり、そういう意味では問題はないという。では、なぜ問題として取り上げられてしまったのだろうか?

 

「反発係数を修正したという情報を伝えなかったことが問題なのです。スポーツ界で重要な記録が、急に量産されたり減少したりするのは記録の継続性という意味で甚だ問題です。平等な条件に基づいて記録は破られなければならないという考えがあり、一時的に変えたという訳にはいかず、変えざるを得ないと思ったら情報を伝えなくてはならないのです。それを怠ったのが今回の一番の問題でしょう」(同)

 

反発係数が少し異なるだけで打球の飛距離は大きく変わる。さらに、統一球問題では、プロ野球球団所属の野球選手を会員とする『選手会』の力の弱さが露わなったと大坪先生は言う。

 

「米国のプロリーグは、団体労働協約というものを結んでいます。選手会と労働組合と経営者側の3者で選手たちの労働条件を結ぶ契約です。しかし、日本には団体労働協約がなく、選手と球団の間の契約しか成立していないので、選手が球団以外と話す機会はありません。そのため、選手会の立場が弱く、今回の日本プロ野球機構がボール変更を発表しなかったことに異議を唱えることができませんでした」(同)

 

金銭的な問題や選手会は何もできないだろうという緊張感の欠如により、本来伝えなければならないことを怠ってしまった可能性もあるとのこと。
記録が選手の年俸、生活に直結することを考えると、統一球問題は選手への配慮が足りなかったと言えよう。しかし改善点を見出すことができたのも事実であり、この問題を無駄にせず、日本プロ野球界のさらなる飛躍を期待したい。さて、プロ野球界の裏事情を垣間見たところで、今年のプロ野球はもっと楽しみになりそうだ。
(文=佐藤清香)

*2つの物体が衝突するときの、衝突前と衝突後の相対速度の比。つまり、単純にボールがどの程度飛ぶのかという基準。

 

【プロフィール】
大坪 正則 おおつぼ まさのり (OTUBO MASANORI)
帝京大学経済学部経営学科教授。
研究分野はスポーツ経営。
スポーツ経営の視点から見た野球の著書を多数出版している。

 

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