メインインタビュー 坂上忍  【半生を反省】 前編

2015年2月9日 記事の公開日時 5:00 pm

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メインインタビュー 坂上忍  【半生を反省】   前編
 
 

この記事は2014秋号に掲載されています。
詳しくはこちらをご覧ください。

『天国から地獄になって、後は返済生活』

“働く”ことを余儀なくされた少年時代

なんで僕が芝居の道に進むようになったかっていうと、僕は10代から子役はやってきてたんだけど、家庭の方はあんまり良くなかった。だんだん、うちの親がおかしいな、って感じるようになって、中3の時の一年間がかなり酷かった。借金の取り立ての人が来たり、毎晩、取り立ての電話が掛かって来たり、おやじの暴力だとか浮気だとかが限度を超えてきたり。兄貴と相談して、「親父がこれ以上ひどくなったら、母親やばいよね」って話をした。僕たち兄弟から母親に、「親父とはもう別れたほうが良いんじゃないの?というか別れて欲しい」と伝えた。「金銭的な面倒は僕がみます、兄貴が精神的な問題をみます。借金を返すまで僕は仕事は続ける(当時坂上さんは俳優として仕事をしていた)ので別れましょう」って母親にお願いして、中学の卒業式の翌日に家庭裁判所に3人で、おやじと縁を切る手続きをしに行った。これが僕の芝居を続ける変なきっかけになっちゃったんですよね。

少年時代に命の危険すら感じた過酷な体験。そして、借金返済の為に続けなければならなかった芝居にはやる気を持てなかった。その負い目から14歳で劇団を退団した後は、数多く大手事務所からの誘いがあったにも関わらず個人事務所を立ち上げることを決める。

14歳で個人事務所を作った。社長名義だけ母親の名前で、僕とマネージャーさんの二人三脚で、会社を興した。そこから10年ちょいで借金は完済できたんですかね。
だから変な話、10代は小学校くらいまでは羽振りが良かったんですけどね、親父も。でも、親父と縁を切ってからは、まさに天国から地獄になって、返済生活だったんですよ。

有名人であった為、中学ではいじめにあう。しかし、持ち前の記憶力で相手の顔を覚え、一年をかけて一人ずつに仕返しをするという負けず嫌いな一面もあった。そしてその後、自分が“面白い”と思う監督との出会いによって、子役から役者へと変化していく。

子役の頃は、テレビで出る役だと可哀想なイメージで不幸な役が多かったんですよ。ただ実際の僕は結構やんちゃだった。だから実際の僕を知っているスタッフさんたちが、17、18歳くらいの時にヤクザ映画で僕を呼んでくれたんですよ。「あいつだったらヤクザモノでもできるんじゃないの」って。その辺からもうベッドシーンも経験して。「子」役から「男」の役者に変化する機会をもらえたのは、結構ラッキーだったのかもしれないっすね。
こういう仕事やっている人は勝手に付けられたイメージを裏切れないって思っちゃうことが多いんです。やっぱり怖いんですよ。でも、僕の場合は芝居にあまり固執してなかったから、普通にイメージを裏切れちゃったっていう。その役柄を捨てる勇気、イメージを捨てる勇気があったってのが、結果的には良かったのかなって気はします。

そして、要所要所で面白い監督さんに出会ったんですよね。小さい頃から芝居をやっていると、芝居は上手くなるのは当たり前ですよ。ただ、自分が面白いと思う監督さんは大体、「芝居は上手い下手じゃない」っていう考え方の人だったんですよ。「芝居は上手い下手で構成されているわけじゃないんだよ。『お前は誰なんだ』って問いかけられるような商売なんだよ」って言う監督さんがいて。それを言われるまでは、「はい、こういう感じね、こういう風な芝居やってりゃいいんでしょ?」って感じでこなしていたんですね。でも、「それでいいの?それウソじゃん」って。そういう追い詰められ方をされた時に、ものすごくドMな自分に出会ったんだよね。やっぱり、やんちゃしている頃の自分ってドSで、責任感もない。だけどその(監督に会った)時に俺の中にどえらいドMがいる、追い込まれて隠したい自分を引剥がされる快感っていうのがあった。そういう、要所要所で出会った面白い監督さんのお陰で、従うことを覚えた。従うんだったらとことん従うっていう。例えば、「全裸で走ってください」って言われたら、「はい、分かりました」って。それくらいの中途半端じゃない覚悟を持って従うみたいな。後は、逆に監督がいくら言おうと「俺は絶対にこう思うから」って主張して、中途半端に迎合しない。「俺はこう思うんです」って言って食い下がる。そういうのを繰り返していくんですかね。

坂上忍 プロフィール
東京都杉並区西萩窪出身。俳優・タレント・歌手・映画監督・演出家など幅広く活躍。2009年に芸能スクール・アーティストの発掘・育成プロダクション「アヴァンセ」キッズアクタープロダクションを開校し、次世代の子役育成にも尽力しており、自身は数多くのレギュラー番組をもつ。また、愛犬家としても知られ、現在7匹の愛犬たちと暮らしている。

後編はこちらから

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