メインインタビュー 坂上忍  【半生を反省】 後編

2015年2月9日 記事の公開日時 5:01 pm

1

このエントリをはてなブックマークに追加

Pocket
メインインタビュー 坂上忍  【半生を反省】   後編
 
 

この記事は2014秋号に掲載されています。
詳しくはこちらをご覧ください。

失敗をしろ。批判、批評される側に立て

スタッフや監督との出会いによって自己の価値観を再確認し、そして「この場面はこう演じたい」という演技に対するこだわりを通して、相手とのコミュニケーションも学んでいく。
そうした様々な経験を経て“四十代”では人生の転機を迎える。

僕にとって四十は考え方の転機だった。僕は失敗を繰り返してきたタイプなので(笑)。仕事づきあいでもそうだし、人でもそうだし、酒でもそうだし、ワンちゃんでもそうだし。やっぱり人生の折り返しは過ぎているから、清算していないことをチャラにしたかった。お金を稼ぐ仕事ばかりやってきたから、お金にならない仕事もやらないといけないと思った。例えば、ワンちゃんの飼い方に“責任”をもつこと。散歩をし続ける責任とか、ご飯をあげ続ける責任とか。ワンちゃんに”責任”を持つことが一番真っ当な飼い主だと思っているので、そう言い続けられるように頑張る。

人生の転機を迎え、様々な場面で自分なりの“責任”を持つ事を大切にする。飼い犬に対する“責任”、自分が関わった子役に対する“責任”。そして、どの責任にも一貫して、“最後まできちんと見届ける”という信念があった。

その他には、この会社(アヴァンセプロダクション・スクール)もそうですね。やっぱり僕は、たまたま子役の頃から生涯一役者とか、生涯勉強とかっていう育てられ方をしていたので、よその仕事に手を出すとか、勉強中なのに人に教えるなんてもっての外だっていう考えがやっぱりあったんだよね。でも、時代も違うし、「僕みたいな者が社会に還元できるものがあるとしたら、じゃあ何なんだ」って考えた。そしたら、やっぱり子役あがりだから子役だった時の気持ちとか、矛盾とか理解しているから(子役のプロダクションなら)出来るなって思って、(この会社を)やる勇気が持てた。一応ビビったんだけどね。先輩からも、同年代からも、「どうせ金儲けだ」と思われるかもしれないとか。色々とマイナス要素も考えたけど、もう四十も過ぎたし、あんまり周りの小さいことを気にするのは嫌だなって。

あと、僕は若い人たちには失礼かもしれないけれど、年食ってる人の方が無条件で偉いと思っているので。色んな先輩いるけど、歳は追い越せないでしょ?どんな酷い奴でもその歳まで生き残っているってことは、結果として普通にリスペクトしなきゃいけない部分だと思っているわけ。だから、僕も後輩の人たちに無駄に気を遣うのは一切やめた。言葉を変えると「迎合はやめよう」と。その代わり、年下をちゃんと見てあげて、頑張っている子がいたら吸い上げてあげないといけないし、応援してあげなきゃいけない。ただ、いつの時代だって、頑張ってない奴とかいい加減な奴とかいるから、そういう奴は無視。その代わりに「こいつ良いな」って思った子にはなんでもしてあげる。子どもたちに対しては教えるべきことを教えて、マネージメントするところをマネージメントしてあげる。でも、人間の場合は向こうにも選択権がある。向こうが僕とずっと付き合いたいって場合もあれば、もう辞めるって時もあるし、違うところ(事務所)を選択するって時もある。そういうことに対して恐れずに、自分流のやり方で教えて、一人ひとり責任を果たしていく。その責任の果たし方で一番大事なのは、付き合っていくその子たちをちゃんと見続ける、その子の変化を。例えば、「こんな些細な事を変えたら、監督が見てくれた」とか。だから、テクニカルなことよりもその子達の変化、どう成長していくかを見続けるというのが、僕が子供のころにされて一番嬉しかったことだから、それを僕が今逆の立場でやらなきゃいけない。

歳を重ねていくと共に、様々な経験によって生き方、考え方が変化し洗練されていった四十代。そんな今の坂上さんから大学生への言葉を頂いた。

今の学生は失敗したがらない。失敗ってなると凄いイメージ悪く感じるかもしれないんですけれど、成功する一番の近道は失敗することだと思う。ただ、良い失敗と悪い失敗っていうのが絶対にあって、良い失敗は能動的に動いた上での失敗。一番悪い失敗は、受動的なままで、色んなコト考えすぎて、何もしないで怒られること。だから思った時には、不安でも行動に起こすっていう第一歩がめちゃめちゃ大切。それ(不安でも一歩踏み出すことの大切さ)は何の仕事でも変わらないと思いますよ。だから大いに失敗をしてください。失敗をするから知恵がついていって、失敗しないやり方を覚えていく。言葉で失敗をして相手を傷つけちゃったから、(言い方の)加減を覚えていく。だから若いうちに許されているのは、失敗。若い頃は大いに失敗をしにいってください。

それと、多分(今の大学生は)僕らの時より皆賢いし、方法論も知っちゃってる。でも、若いうちって試されている時間なんだよ。だから、唯一気をつけた方がいいのは、他人をあまり批評しないことだと思う。どっかでしたくなっちゃうのはわかる。でもやっぱり若いんだったら、どんどん批判、批評される精神でいった方がいいと思う。無駄に相手を評論しない方がいい。

自分が頭でっかちになっていると、人との出会いまで失っていっちゃうかもしてないから。せっかく出会っていても見逃しちゃったりするし。必ず自分から能動的に晒される側に立とうと努力していれば、面白い人に会える。その時にその人に食い下がっていけば、つながっていくから。つまんない奴との繋がりがいくら増えていってもしんどいじゃない。この人との出会いっていうのを見逃さないようにしておけば、心のバランスはとれる。だから、さんざん失敗してください。

坂上忍 プロフィール
東京都杉並区西萩窪出身。俳優・タレント・歌手・映画監督・演出家など幅広く活躍。2009年に芸能スクール・アーティストの発掘・育成プロダクション「アヴァンセ」キッズアクタープロダクションを開校し、次世代の子役育成にも尽力しており、自身は数多くのレギュラー番組をもつ。また、愛犬家としても知られ、現在7匹の愛犬たちと暮らしている。

 前編はこちらから

関連記事


 
▲一番上に戻る