子どもだけじゃない!! 大人も惹き付ける絵本の世界!!

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2015年3月4日 記事の公開日時 5:00 pm

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子どもだけじゃない!! 大人も惹き付ける絵本の世界!!
 
 

この記事は2014秋号に掲載されています。
詳しくはこちらをご覧ください。

子ども向けから癒しへと変わる絵本!

 近年、大人を読者対象にした大人向け絵本や大人も楽しめる絵本が増え、絵本を読んだり、プレゼントとして贈る大人が多くなってきている。絵本は大人にとって以前より身近な存在となってきているようだ。なぜ絵本が大人を惹き付けているのか疑問に思ったマグ捜査員(精神年齢低め)は絵本研究家として活躍されている広松由希子さんにお話を伺った。
まず、広松さんに大人向け絵本の変遷についてお聞きした。

「まず1970年代に大きな絵本ブームがあり、その時に大人のための絵本もたくさん作られました。その後ブームが落ち着き、次に大人のための絵本の小さなブームが来たのが1990年代末から2000年前後です。当時は世紀末で『癒し』がキーワードになっていて、そのため癒しと絵本のイメージが結びついたのではないかと思います。『いつでも会える』や『葉っぱのフレディ』などミリオンセラーになる絵本が出て、それを契機に2000年代前半に大人が自分の癒しのために絵本を読むという動きが増えました」(広松由希子さん)

 意外にも大人向け絵本のブームは1970年代に訪れており、2000年代には癒しとして再び大人を惹き付けるようになった。大人向け絵本の魅力とは何なのだろうか。

「絵本はページ数が少なく、子どもが読むものという意識もあり、絵があることで人をあまり構えさせないんです。自分のペースで自分の好きなように読むことができます。リラックスして油断した状態っていうのは心が開いているので、大事なことが書かれていると自然と中身が入ってくるんですよね。絵本は単純そうに見えて、すごく深い哲学が読み取れるのが魅力だと思います」(同)

 そんな気軽さと奥深さを持つ絵本だが、2000年代以降、絵本雑誌の廃刊など厳しい状況に置かれている。今後絵本業界は衰退するのだろうか。それとも、新しい動きが起こるのだろうか。広松さんに大人も楽しめる絵本をはじめ、絵本の今後について伺った。

「最近の目立った傾向の1つとして作家の宮部みゆきさんや漫画家の松本大洋さんのように違う世界の人が面白い絵本を作っていることが挙げられます。また、絵本は本来『希望』を伝えるものですが、震災以降の絵本はどのような希望を子どもや大人に伝えていけるかという分岐点に立っています。その中で色んな作家たちが真剣に模索して作ったものが出てきており、新しい表現や動きが生まれるのではないかと思います。電子絵本も出てきていますが、モノとしての紙の絵本の価値が見直される動きもあり、絵本業界が衰退していくとは思わないですね」(同)

 絵本は世代を問わず多くのことを教え、考えさせてくれる。大人になるにつれて失うものも増える中で、絵本には愛や友情など変わらない大事なものがたくさん詰まっている。それが絵本の魅力であり、大人を惹き付けているのではないだろうか。是非、あなたもこの機会に絵本を読んでみてはいかが?
(文=濱名満智)

広松由希子(HIROMATSU YUKIKO)
絵本研究家、絵本作家。『きょうの絵本 あしたの絵本 2001から2012の新刊案内』『ちひろ美術館が選んだ親子で楽しむえほん100冊』(共著)『おめでとう』(共著)など、絵本に関する著作をはじめ、自身で絵本も数多く執筆している。

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