「人科生こそ、人科とはなにかと自問すべき」不確実な未来を迎える人間科学部生の生存戦略<後編>

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2015年7月22日 記事の公開日時 6:30 pm

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「人科生こそ、人科とはなにかと自問すべき」不確実な未来を迎える人間科学部生の生存戦略<後編>
 
 

人間科学部生のみなさんは、「人科ってなに?」と聞かれた時にどう答えるでしょうか。人科とは一体何なのか。これからの社会で、どのように活きるのでしょうか。

今回は人間科学部OBの細野雄紀氏に、人間科学部について、そしてこれからの日本社会での「生き方」についてお話を伺いました。

前編はこちら

個人が際立つ社会へのシフト

極論を言うようですが、実は人科生こそベンチャー企業に向いてるのになって思います。特にIT系の場合、情報科の学生には特にチャンスがあることは誰でも直感的に分かるでしょう。

これからの5年後・10年後、間違いなく中小企業の時代に入ってきます。理由はいろいろありますが、大きな会社はその規模を維持できず数が減っていく。小さい会社でこと済む時代になっていくので、大きな会社で居続けるメリットがないわけです。そして、その組織構造の変革を迫っているものこそITなんです。

例えば、instagramなんて、立ち上げてからしばらくたったの7人で運営していました。これはやや特殊な例だとしても、テクノロジーの進歩によって徐々に少人数でも仕事ができるような環境が日に日に整っているわけです。

そういう少人数の組織が主流になると、「個」が大事になってきます。学生さんたちはまだ働いていないので想像がつきにくいかもしれませんが、会社なんてものは本来「器」でしかないわけです。中にいる人間こそが主役なのですが、今の世の中ではあべこべになってしまっている。つまり、その器に重きを置き過ぎるあまり、どんどんと「個」「感覚」を失ってしまう人が多い。

僕が中小企業を薦めるのは、自分ごとのように仕事をできるからです。「オーナーシップ」という言葉を用いられることが多いのですが、端的に言えば、責任を持って裁量のなかで仕事をできることが大事だという考え方です。会社にもよりますが、大企業によっては歯車のように仕事をしなければなりません。自分のやっている仕事が一体誰の何のためになっているのかが分からず、ただひたすら我慢我慢の日々で感覚を押し殺してイヤイヤ仕事をしている人がこうも多いのはとても異常なことだと思いませんか? 正直、この働き方は時代錯誤もいいところです。

一方で、ベンチャーで仕事をしている人は目的意識が明確なので、こういうマインドでは仕事をしません。「個人」として仕事をしているから学びも多いし、優秀ならば転職市場でも困りません。勤続年数が減ることを考えると転職の頻度も増えますが、そういう意志ある働き方をしている人ならどこで仕事をしても、のびのびと仕事することができるでしょう。

逆に言えば、「やりたいこと」「意志」が定まっていないと簡単に淘汰されてしまう残酷な世界でもあります。

もし、ベンチャー企業が未来の企業の形なのであれば、これまでは既存のレールに乗っかっていれば生きていけたけど、これからの時代はとてもそれではやっていけないのだということになります。自律的に考え、行動するマインドがより一層重要になるでしょう。

人科生こそ創造的であれ

ところで、日本の社会はあまり危機意識がないけど、20年もしたら必ずしも日本は先進国だ、と言えない時代に突入します。幸せな話ではないから誰も言いたがらないけれど、労働人口が減っていく以上、日本経済は衰退していくことになるでしょう。少なくとも、経済大国としての自負は徐々に突き崩されることになります。

生まれてから不景気不景気と言われてきたけれど、それでも経済大国なのだという自負は皆さんもあると思います。その前提が変わってしまう可能性が高いんです。例えばGDPで言えば2050年になるとブラジルやインド、インドネシアに抜かれ、ナイジェリアには肩を並べられます。

かつて1980年代、バブルが弾けるまで日本経済は絶頂を極めていたと言われます。徹底したワークフローによって、大量生産型のビジネスが日本人の特性とうまくマッチし、アメリカですら太刀打ちできなかった時代があったのだと言います。それが30年経った今、とてもそのようには想像できません。

当時、日本が得意としていたのは10→100のフローでした。ところが、現代に求められているのは0→1にあたります。誰にもルールを提示されないなかで、よい製品/サービスを提供するのは、日本企業が苦手としている領域です。つまり、真にイノベーティブな企業が日本にないのです。この現状を突破できる会社がなかなか日本から現れないのは決して偶然ではありません。
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ITは若者にとって大きなチャンス

ITは若い人が世の中のオジサンに太刀打ちできる唯一の土俵です。プログラミングさえできれば世の中になにかを提示できる開かれた場であり、かつ明らかな成長産業です。そういう場所に、私自身も知らずのうちに心惹かれてしまいました。僕がITベンチャーをやっているのは、こうして考えると必然なのかもしれません。

若い人はあまり気づいていないかもしれませんが、若い人はそれだけでオジサンたちに比べて経験の面で有利なはずなんです。幼いときからWebに慣れ親しんだその感覚こそ、学ぼうと思っても簡単には学べない武器なのです。人科OBとしては、卒業生がもっとIT業界にくればいいのにな、と切望しています。

ところで、そのITも、日本は完全に後進国になってしまいました。人口が減るのはいっそのことしょうがないとしても、ITに弱いことは日本の経済に大きなダメージを与えてしまうでしょう。

なぜか日本人はハイテクで技術大国であることを疑いませんが、もはや技術大国だなんて言っていられる状況ではありません。Google、Twitter、Amazon、Apple…今後もアメリカ発の「巨人」が日本人の生活を支えることになるでしょう。

これは由々しき事態です。5年後、10年後にもなれば、ITと関係ないような業界がITによって再編されることになるでしょう。まさに昔の産業革命のような流れがこれからやってくる…にも関わらず、そういった想像力を持たない企業がどれだけあるか。特に日本の大企業はその傾向が顕著です。

10年後、何を志し何をしているか

どうでしょうか。私たちのいま暮らしている2015年からすると、イメージしにくい部分もあるかもしれません。大事なのは、これらが実現するかどうかではなく、そのときに皆さんが何を志し、何をしているかだと思います。人科で学んでいる以上、未来への想像力と創造力をフルに活用してください。

ほとんどの人は、残念ながら現在(いま)に埋没されて生きています。でも皆さんにはそうなって欲しくない。
皆さんが、人科生らしいアプローチによって、社会で輝くことを願っています。

細野雄紀(ほその ゆうき)

1990年2月8日生まれ。神奈川県平塚市出身。株式会社JX通信社取締役兼COO。2012年、早稲田大学人間科学部人間情報科学科を卒業。尾澤研究室1期。「MagNet Press」では主に誌面デザインを担当していた。JX通信社では経営メンバーとして幅広い業務に従事。

Twitter: @healthyboy5

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