【2016冬号】メインインタビュー 國本未華

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2016年2月17日 記事の公開日時 4:00 pm

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【2016冬号】メインインタビュー 國本未華
 
 

この記事は2016冬号に掲載されています。
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私たちの生活に必要不可欠な天気予報。

しかし、 天気は常に変化し、台風や土砂災害など時として尊い人命を奪うことにもつながる。

そのような天気を予報し、その微細な変化を人々に分かりやすく伝え「あわらす」仕事である気象予報士。今回は気象を言葉で「あらわす」ことのプロであり、学生時代から気象予報士として活躍している國本未華さんにお話を伺った。

 

「気象予報士とは気象庁が提供する予測資料を翻訳して、皆様に分かりやすいように言葉に代えていくという仕事だと思います」

 

そう語る國本未華さんは、早稲田大学在学中に気象予報士の資格を取得して以降、テレビ東京やTBSテレビなど様々な番組でお天気キャスターとして精力的に活動したのち、現在TBSの「NEWS23」のお天気コーナーを担当。その他コラム執筆や講演会など幅広く活躍されている。

 

- 気象予報士という仕事は一般に広く使われる言葉ですが、天気について予報してくれる人というイメージしか持っていない人も多いと思います。では、実際に気象予報士はどんな仕事をしているのですか?

「気象予報士はまず気象庁から送られてくる細かい予報資料を見て、スーパーコンピューターが出した計算結果なども参考にしながら予報するという作業を行います」

-  細かい資料とは何が書いてあるのですか?

「いわゆる地上の天気図から始まって、上空1500mの気温や湿度、また上空5000mやそのさらに上の大気の流れなどが1枚の紙に書かれています。それを立体的に頭の中で組み立て、どう風が流れているのかを想像します。正直見ているものが正解かどうかは微妙ではありますが、実況と予報を反映させることで、今のこの実況でこうだから、予報はこうなるだろうっていうのを考えています。また、テレビ画面には気象庁が発表した予報のマークが出てるんですけど、その裏に隠された雨の予報、例えばにわか雨がどこら辺に降りやすいか、またはただの雨マークだけど、雷がどこに隠れているかなどを予報資料を元に解説することも行い、予報マークでは分からない細かい部分を日々解析しています」

- 気象情報の翻訳者として私たちに日々、天気を伝えてくれる気象予報士。しかし、その国家試験の合格率は毎年数%とかなり難関なものだそう。では、なぜ気象予報士になろうと思ったのですか?

「気象予報士になろうと思ったのは、小学生の頃からお天気キャスターになりたいという思いがあったからです。そして大人になり、心のどこかにはお天気キャスターになりたいという気持ちはあったのですが、現実的にどうやってなればいいのかというのを具体的に考えたことはなかったんです。でも、大学に入り、大学2年生の時に早稲田コレクションを立ち上げた友達にモデルをしないかと誘われ、一生懸命にその企画を一から作り上げる姿を見て、私も何か協力したいと思うと同時に、私も何かしなきゃ、と感じたんです。そこで、私やっぱりお天気キャスターになりたかったという夢があったなということを思い出し、気象予報士という資格を見つけ、勉強してみようと思いました」

注:早稲田コレクションとは、デザイナーとモデルでペアを組むファッションショーで、早稲田大学の学園祭で毎年行われる恒例イベント

國本さん2 修正

- 難関な国家試験を突破するために、専門の塾((株)クリア)に通い、晴れて大学3年時に憧れの気象予報士となった國本さん。しかし、テレビの気象予報を見ていると放送時間はわずか数分だけ。短い時間で気象情報を伝える際に気をつけていることはありますか?

「何よりもまず気象情報の中でも、特に防災情報を伝えるようにしています。そのなかでも一番優先するのは、人の命に関わるような雨の降り方をするのかどうかという部分ですね。例えば、台風が来ていればもちろん一番初めに台風情報を伝えますし、それがどういう被害につながるのかを出来るだけ言葉に代えて伝えるようにしています。逆に穏やかな天気で気温が上がるという時には、今日と比べて明日はどうなのかっていう比較しやすいものさしを伝えるようにしてますね」

- なるほど。他に気をつけていることはありますか?

「最近気象災害が増えてきていて、私がNEWS23を担当するようになってからも伊豆大島の土砂災害もありましたし、広島の土砂災害もありました。さらに今年は鬼怒川が氾濫するなど、一年に一度か二度はそういった想像を超えるものが起きてしまいます、それらは予報の限界を感じる側面もありますが、できるだけ細かいピンポイントの情報をより正確に、そして、その情報が人の命を救う情報になるかもしれないという気持ちを常に忘れないようにしてますね」

- たしかに近年、想像を超えるような異常気象がたくさん起きていますよね。では様々な気象を予報してきた國本さんですが、特に印象的だった気象はありますか?

「去年の8月に広島で大規模な土砂災害があったときですね。私は前日の夜にTBSで働いていて、多少広島で雨が強まってるのは分かっていたんですね。雨雲レーダーを見てて強いなっていうのは思ってたんですけど、全国放送でそこまで取り立てて言うほどのレベルではないという判断をしました。

しかし、放送が終わって夜中の2時ぐらいですかね。突然天気が急変し、ものすごい大雨が降ったので、翌朝テレビをつけるともう土石流が起き、人が生き埋めになっている状況になっていました」

- たしかに、想像を超えるという言葉そのものでしたよね。

「あの時は本当に悔しかったという思いと同時に、自然は想像を超えるものだなというのを痛感しましたね。本当に、ものの数時間の出来事で人が亡くなるということが起りうるほど、自然には脅威があるという部分が怖いなって思ったと同時に、そういう災害のサインを今後絶対見逃さないようにしないといけないというのを強く感じましたね」

- 時として人々の脅威にもなりうる天気をきちんと予測し、予報しなければならないという責任のある気象予報士という仕事。では、気象予報のプロとして仕事との向き合い方や姿勢にはどのようなものがありますか?

「天気は同じ日が1日としてないんですよね。なので、毎日毎日新鮮なものと向き合う気持ちで仕事に取り組んでいます。今日があって、明日があって、という連続性がある中で、でも同じものはないという意識で天気予報を扱っていくという気持ちでいることが今の仕事への姿勢ですね。あとは、新しい発見を日々できるようにしようと思っています。例えば、先日、与那国島で先日、与那国島で日本の観測史上の歴史に残るような81.1m っていう風が吹いたっ ていうのがあったんですけれども、そんな風が今、この時代に与那国島で吹いたという のはすごく人生で経験できないようなタイミングですよね。そういう極端気象と呼ばれる記録的な気象も最近増えてきている中で、一日一日を真剣に新しい気持ちで向き合っていますね」

- それでは、最後に大学生へメッセージをお願いします。

「みんな絶対何かしら小さなことでも好きなことってあると思うので、そこから何か発展させて行動に起こすということをしてほしいなって思いますね。そして、希望を持ってやってほしいですね。

今の大学生って目的持って貫いてやってる子もいるとは思うんですけど、やっぱりなんとなく大学に通って、友達たくさんできるし、サークルも楽しいしという感じで、それとなく流れてしまう日常だったりもすると思うんですね」

- たしかに、大学生はそうなりがちですよね。

「でもそういう中で自分が少しでも興味あることや感情を動かされたことはちゃんと覚えておいて、そして、そこに将来につながる何かを見つけてほしいなと思うんですね。

私も何をやったらいいのかわからない時期が大学1年、2年くらいずっと続いてましたが、その中で好きなことを考えた時に、小さい頃天気予報が好きだったという原点に立ち帰ったので。

あと、刺激的な友達がたくさんいると思うので、そういう子からもいいものを得て、活発に活動してほしいなと思いますね。

でも、お酒などの誘惑には負けないで(笑)」

 

- 大学時代の自分を一言で「あらわす」と?

『迷い』

「何やったらいいかわからないっていう時期で辛かったです。たしかに友達と遊んだりして楽しい時間もあるんですけど、ふと我に返ったときに私何やってるんだろうっていうのをすごく思ってましたね」

 

- 今の自分を一言で「あらわす」と?

『木漏れ日』

「闇がかかったような迷いの時期に光が差し込み、やっと進む方向が見えたかなと思います」

 

國本未華 プロフィール
気象予報士。1987年東京都出身。早稲田大学在学中、幼い頃からの憧れであったお天気キャスターを目指し気象予報士の勉強を始め、大学3年次に資格取得。同年、健康気象アドバイザーの資格も取得。在学中からウェザーマップに所属し活動を始め、大学卒業後はテレビ東京やTBSテレビなどに出演。そのほか雑誌の取材やコラムの執筆、講演会なども仕事も受け持つ。現在TBSテレビ「NEWS23」に出演中。

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